2014年6月19日木曜日

はなの、はなし

ある日
小学生の女の子が来た
学校の帰りだ

彼女は
スタスタスタスタと
道を歩く同じスピードで
なんの躊躇もなく店に入ってきた

下校の時間は
いつも店はあまりお客さんがいない

私は何か
下を向いて書き物をしていた
ふっと顔をあげると
彼女が
スタスタスタスタと
入ってきた

あまりにもスピードが早いので
立ち止まって
目があって
数秒お互い見つめあった状態で
止まったような気がした

そしてニッコリ笑って
私は
こんにちわ
と言った
出来るだけこの低い声を出さないように、出来る限りの高い声で、だ。


わたしは笑う
彼女は真顔のまま

彼女は
あたしのこと
おぼえてる?

と、言った

すべてが一瞬だった
わたしの頭の記憶の引き出しが
カタカタと音をたてて
何かを引き出してるようだった

ちょっとまてよ
えーっと、
わかる。三年生。
えーっと、
誰かと一緒に来たな

えーっと、
えーっと、

と、ほんの数秒で考え
彼女に言う
にっこり
覚えてるよ♡

そうゆうと安心したかのように

ふーん
と、言って店を見回して
わたしに確認することもなかった

学校の帰り?
うん
今日は楽しかった?
うん
暑かったなぁ
うん
プールとかそろそろ?
まだ

ひたすら質問攻めのわたしに
ひたすら二文字で答える彼女

話してるうちに去年の夏に
店によく来る子が連れて来た子だと思い出した
あれ以来来てない

なんで
花屋にきてくれたのー?
久しぶりやねえ

と、言うと

うーん、、
思い出したから

と、なんと明解な答え‼

うれしくなって
子ども相手に話してることを忘れ

マジで?
と喜ぶわたし

うれしいわあ
また来てや
そう言うと

今からスイミング。
そう言って帰っていった

帰りぎわ
彼女は落ちてた花びらをひろって帰った
嬉しそうだった

どんな小さな子でも
花はきっと癒し
どんな小さな花のカケラでも
花は花

来てくれてありがとう
そんな一日





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